物覚えが悪く、被害的な世界観がある方への支援

2024年02月27日10:00~
とまりぎ勉強会「物覚えが悪く、被害的な世界観がある方への支援」という内容でディスカッションがおこなわれました。

【経緯】
対象者:53歳 精神2級 高次脳機能障害
小・中学校で、いじめを受けたことで、高校には進学せず、中学卒業後、和裁教室に5.6年通った。
その後、知人の紹介で、町工場に就職するも、なかなか仕事を覚えられず、3.4年で解雇され、在宅生活を送っていた。
30歳頃になって定時制高校に、4年間無遅刻無欠席で通った。
就Aを4年間勤務したが、コミュニケーション面、能力での負担を感じ、退職する。
現在B型を利用している。

【状況】
現在、糖尿病を患っており、右耳はほとんど聴力がない。左耳のみ補聴器を装用している。
事業所でのトラブルは、難聴故に起きるものもあるが、
・他の利用者へ物を投げる。
・職員に声を掛けず無言で道具を取る。
・トイレの列に並んでいて他の人に割り込まれると、その利用者を小突き不快な思いをしたとはっきりと本人に伝える。
・自分の中で、苦になる作業の回数が多いと感じると、その作業をやめさせてほしいと意見を主張してくる。
などがある。

周囲から話しかけられると、嬉しそうに自分の話が止まらなくなることがあるが、だんだん自分の過去の出来事(病気・いじめ)についての話に方向性が変わり、今話していた内容をフォーカスして振り返ることがない。

【課題】
新しいことが入りづらい
他者との関わりが取りづらい 
被害的である

【支援対策】
過去の辛かった経験を、受容しながらサポートしていくと、自分で過去の経験として抱えていくことができ、癒しが得られる。
過去の経験を、深入りせずにドラマを見ているような感覚で話しを聞いてあげることが大切という意見が出た。
また、作業も受け身であると、やらされ感がありイライラすることがあることから、本人が楽しいと感じられる作業を見つけ能動的に行えるよう、サポートしていくことが重要であると考えました。